脳振盪からの段階的競技復帰に関する各競技別の資料などをまとめました

「各スポーツでどんなふうに段階的に脳振盪から復帰するように推奨されているんだろう?」

「どっかに各競技別の資料などまとめてくれていないかな…」

今回の記事では、脳振盪からの段階的競技復帰について各競技ごとに日本語で公開されている資料へのリンクをまとめてみました。見つけ次第、どんどん追加していきたいと思いますので、ここに含まれていない公開されていて、誰もがアクセスできる資料などがあれば、教えていただけると嬉しいです

バスケットボールにおける脳振盪からの段階的競技復帰

B. LEAGUE SCS (Safety, Condition, Strength)推進チームのメンバーで、頭部外傷・脳振盪の専門家である中山晴雄先生(東邦大学医療センター大橋病院)が監修し、要点がまとめてくれている資料の中に推奨される段階的復帰プログラム(7ページ目)が示されています。

嬉しいことに、Β.LEAGUEの資料なので対象は大人だけかなと思いましたが、別のスライドで高校生以下(18歳以下)の推奨される段階的復帰プログラム(8ページ目)も含めてくれています。

ラグビーにおける脳振盪からの段階的競技復帰

2022年6月にワールドラグビーが「エリートゲームにおける脳損傷からの競技復帰への新たなアプローチ」し、日本ラグビーフットボール協会でも、同年8月に(通達)脳振盪からの「段階的競技復帰(GRTP)」改訂【安全対策】という通達を公開しました。

この通達の中にある添付資料の中でわかりやすく解説しているパワーポイントの資料である脳振盪/脳振盪の疑い「段階的競技復帰(GRTP)」変更への対応についてを参考にするのがオススメです。

サッカーにおける脳振盪からの段階的競技復帰

サッカーにおける脳振盪からの段階的競技復帰については、日本サッカー協会のメディカル関係者向け情報について記載しているサイトが参考になります。

このサイトのサッカーにおける脳振盪に対する指針[メディカル関係者向け情報]の一番下にある表1 脳振盪からの段階的復帰でステージ1からステージ6で解説されています。

柔道における脳振盪からの段階的競技復帰

柔道における脳振盪からの段階的競技復帰については、公益財団法人全日本柔道連盟の指導者・審判を対象にした安全指導の資料の中にある柔道の安全指導 2023年第6版の中にあります。

このダウンロードできる柔道の安全指導 2023年第6版の9ページの一番下にある表1脳しんとう後の段階的競技復帰手順柔道用でステージ1からステージ6で各段階における運動の内容と各段階の目標と合わせて解説されています。

アメリカンフットボールにおける脳振盪からの段階的競技復帰

日本アメリカンフットボール協会では、脳振盪などの安全対策についてはフットボールアカデミーの安全対策に掲載しています。

ここでの脳振盪からの段階的復帰については、アメリカンフットボールに特化したものではなく、国際スポーツ脳振盪会議が提唱している段階的復帰を示しています。

ハンドボールにおける脳振盪からの段階的競技復帰

日本ハンドボール協会の医事委員会からの脳震盪(疑い)時の対応「ガイドライン」の3ページ目に脳震盪(疑い)の判断練習や試合の復帰に書かれています。

復帰段階が1から6あり、特徴的なのが「リハビリとしての運動」という表記で説明されている点です。

また、いつ公開された資料なのか分からないので、もしかしたら新たに更新されたガイドラインがあるかもしれませんので、各自でご確認していただけると嬉しいです。

注)脳震盪という表記は、日本ハンドボール協会と同じ表記にしています。

ボクシングにおける脳振盪からの段階的競技復帰

日本ボクシング連盟競技規則の31ページにある別紙8に脳振盪段階的復帰プログラムが載っています。

2022年4月1日に改訂された資料になりますが、2024年4月9日に確認しましたが、この資料はまだ改訂されていないようです。

自転車競技における脳振盪からの段階的競技復帰

2020年に国際自転車競技連盟(Union Cycle Internationale : UCI)が自転車競技、特にロードレースに特化した段階的競技復帰について発表しました。

残念ながらこれまで日本語版が見つからなかったのですが、日本臨床スポーツ医学会誌に”脳振盪後に段階的競技復帰を実践した自転車競技選手の一例”というタイトルで症例報告の中でUCIの段階的競技復帰が日本語で紹介されていました。

また、この症例報告は、症例に合わせてUCIの段階的競技復帰を調整したものも一緒の表にまとめてくれています。

自転車競技に関わっていないアスレティックトレーナーの方もどのように症例に合わせて段階的競技復帰を調整すればいいのかの参考になると思うのでぜひ読んでいただきたい症例報告です。

比較的、公開されている競技に特化した段階的競技復帰はコンタクトスポーツまたはコリジョンスポーツが多いので、自転車競技のようにノンコンタクトスポーツの段階的競技復帰は参考になるかと思います。

各競技団体の脳振盪に関する情報発信に参考になる論文を紹介

今回の記事を作成するのにもとても参考にしましたが、日本の大学スポーツ競技団体がスポーツに関連する脳振盪に関して一般的にどのような情報発信しているかを知りたいときには、下記の論文がとてもオススメです!

細川由梨, 大伴茉奈, 熊崎昌, 田島千紘, 猪俣巴, 勝俣凜香, 東海林理沙, 巻渕泰輝, 中山晴雄: 日本の大学スポーツ競技団体が一般公開しているスポーツ関連脳振盪に関する情報発信の内容. 日本アスレティックトレーニング学会誌, 7(2): 257-265, 2022.

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ジンノウチ シュンアスレティックトレーナー
NPO法人スポーツセーフティージャパンに所属。 2011年に米国公認アスレティックトレーナー(BOC-ATC)になり、2013年にスポーツ医学/ バイオメカニクスで修士課程を修了し、日本に帰国。 選手や保護者など一般の方を対象に、スポーツ関連脳振盪の啓発のため、Facebookで「脳振盪ネットワーク」のページを運営。「脳振盪ハブ」では、スポーツ現場で活動するスポーツ医科学の専門家に向けて情報を発信中。