運動性低ナトリウム血症は、運動中に汗をかき、大量に水を摂取して体内の組織や臓器がその水分で腫れる状態で、さまざまな体調不良が起こります。
大量に水を摂取することで起こるため、水中毒とも呼ばれています。
- 運動性低ナトリウム血症になってしまう原因
- 運動性低ナトリウム血症になったときに現れる症状
- 運動性低ナトリウム血症の疑いがあるときの救急対応
- 運動性低ナトリウム血症にならないための予防法
運動性低ナトリウム血症になってしまう原因
運動性低ナトリウム血症になる原因は、運動中の水の飲み過ぎです。
運動中に汗をかき、水分補給することは脱水やパフォーマンス低下、熱中症の予防には重要になりますが、何をどれくらい補給するかも大切です。
運動中の水分補給として、水だけを大量に飲むことによって体内の水分が多すぎてしまい、体内の組織や臓器がその水分で腫れます。
この水分の腫れが脳まで至ってしまうと、命が危険になります。
運動性低ナトリウム血症になったときに現れる症状
運動性低ナトリウム血症になったときに現れる症状を、初期症状と重度な症状の2つに分けて紹介します。
- 筋肉のけいれん
- 筋肉に力を入れづらくなる
- 頭痛
- めまいやフラフラする
- 無気力
- 手足や顔の腫れ
- 吐き気
- 嘔吐
- 機嫌が悪い/機嫌が悪そうな行動
- ひどい頭痛
- 精神錯乱/興奮状態/ムードの変化
- 幻影を見る
- 息が苦しくなる
- 呼吸困難
- 発作や意識レベルの低下
- 昏睡状態
運動性低ナトリウム血症の症状は、脱水のときに現れる症状に似ています。
体内の水分が多いときにも、足りないときにも同じ症状が現れるため、症状だけで判断するのではなく、運動中の水分補給について本人や周りの人から情報を入手することが重要です。
- 体重の増加
- 水分を大量に摂取していた
- 手足の腫れ
- 頭痛が徐々にひどくなる
運動性低ナトリウム血症の疑いがあるときの救急対応
運動性低ナトリウム血症の疑いがあるときには必ず医師の診察・治療が必要です。
上記の重度な症状が現れた場合には緊急事態と判断します。
病院で医師の判断によって、点滴によって塩分を身体に取り入れます。
運動性低ナトリウム血症にならないための予防法
運動性低ナトリウム血症の予防法は、適切な水分補給です。
熱中症の予防または高いパフォーマンスを発揮するための水分補給は、体重の減少を2%以内にすることですが、運動性低ナトリウム血症に関しては大量の水を飲みすぎることによって起こるため、体重が増加します。
熱中症の予防や高いパフォーマンスを発揮するためには脱水にならないようにすることが重要なので体重の減少に目を向けていますが、運動性低ナトリウム血症を考慮すると、体重の増加にも目を向ける必要があります。
教科書的には、適切な水分補給は、「体内の水分量を一定に保つ(+1%から−1%)」ことを意識することです。
運動性低ナトリウム血症の原因は大量に水を飲むことなので、「大量に」という点は、体内の水分量が一定に保たれる量というのを目安にするため、運動前後の体重を測定することで確認することができます。
また、1回の水分補給で体内に正常に吸収されるのは、150-250mlになるので、1回でがぶ飲みをするのではなく、こまめに水分補給することも重要です。
運動性低ナトリウム血症の原因のもう1つのポイントは、何を飲むかです。
運動性低ナトリウム血症は、「水」の大量摂取が原因で起こります。
ここでいう「水」とは電解質などが含まれない真水のことです。
ただ、一般的に運動時間が1時間以内であれば、水のみの補給で十分だと言われています。
すごい暑い環境やかなり強度の高い運動ではない限り、電解質や炭水化物などを摂る必要はありません。
私の場合は、1時間以内で強度が高い運動でなくても、スポーツドリンクを飲んでいます。
これは、「水」にしてしまうと、水分補給する量が少なくなってしまうからです。
個人によって、汗をかく量や補給する水分への嗜好も違うので、ここで対応することが重要です。
1時間を超えるような運動やスポーツをする場合には、迷わずにスポーツドリンクのような電解質・炭水化物を含んだ水分補給をしてください。
今回は運動性低ナトリウム血症について下記の内容を解説します。